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あふれることばたち

わたしのずっと好きな音楽の話/project-as A-水江建太×city pop によせて

初ソロライブ開催、おめでとう。ほんとうにおめでとう!
そして素敵な空間を、音を、言葉を、ありがとう。

今日も明日もずっとずっとずーっと大好き。そんなひとに出会えたわたしはとびきりの幸せ者だよ。

どう書くか迷ったけれど、建太くんと彼の音楽が好きなわたし自身の話と、今までとこれからの話をする。受け取った音や言葉に感じたことを綴りながら。
そしてこのプロジェクトはほぼ有料コンテンツだからどこまで話していいものか悩んで、ひとまずギリギリを攻めてみることにした。だっていろんなひとに聴いてほしい。宣伝として有用なレベル、みたいな概念があるでしょう。そういう感じで、書いていく。

建太くんの音楽が大好きだ。
わたしは音楽がないと生きていけない人間で、まさにno music no lifeだ。お仕事中以外はずっと何かしらの音楽を聴いている。だからと言って音楽に詳しいわけでもない。よく分からないなりに、フィーリングで好きな音楽がひたすらに好き。気分によって聴きたい音楽はちがうし、音楽に気分を左右されている。
とはいえ、とくべつ好きな音楽に出会うことってとても少ない。ストライクゾーンがおそろしく狭いのだ。その代わり好きだという強い気持ちを抱いた音楽やシンガー、アーティストのことは永遠に好きな自信がある。
それから知人に「あなたは好きになるものにこだわりがある」と言われたことがある。その通りだ。なにかと偏愛気味だ。
そんなわたしが心のすべてで好きだと感じる、音も声も言葉もぜんぶに揺さぶられる、いっとう好きな音楽に出会った。もう3年以上前のことだ。当時のわたしはだれかのファンになることをやめていた。だけど、とうとうファンになることを決めた。そのいちばんの理由は彼がつくる音楽だった。

お芝居、舞台上でのすがたも好きだ。顔も好き。インタビューや配信を見ていくうちに内面にも惹かれていった。語りだしたら止まらないくらい、様々なひとつひとつが、ぜんぶが好きだ。
そうして彼のファンとしての日々を重ねていく中でたくさんの音楽を聴いた。好きだという感情をその度にたしかめ、実感し、重ねていった。

” project - as A - ”
as Aに込められた意味も、このプロジェクトそのものもうれしくてたまらない。わたしにとって念願でありながら、こちらの想定なんかふわっと高く高く飛び越えてくる。
2022年8月12日-13日、”水江建太 × city pop”として初のソロライブ。
「僕はライブが好きみたいです」という言葉が沁みた。役者として舞台に立ってきて、音楽もやるって中で見つけたひとつの答えなんだなと感じた。
うれしい。わたしもライブが好きだ。ステージにいるそのひとと客席のわたしたちのあいだで交わされるレスポンス。音楽やリズムに乗せて。あの感覚はライブでしか感じられない。
ライブが好きなんだろうなあっていうことはちょうどヒプステのMTC単独で感じ取っていた。あなたとわたしのレスポンス。一緒にリズムに乗った。そのとびきりの楽しさを共有できた気がしたんだ。*1
ステージで歌うすがたはとっても輝いている。歌うことが好きなんだなって感じて、そのエネルギーにしあわせがあふれている。ぜったい、ぜったいに、世界でいちばんきらめいていたよ。

あのとてつもなくきれいな輝きが大好きで。
そのすがたにしあわせをもらって。

そしてなにより、音楽そのものがやっぱり大好きだ。
彼への好きという感情の原点だとさえ言える。
旋律、歌詞、歌声、どれもが刺さる。

旋律はもちろん歌詞がきれいで、うつくしくて。だけど透き通りすぎてない、ちょっとビターだったり。そうやって紡がれる言葉、世界観に惹きつけられる。
その言葉にこの言葉がくるんだ?っておどろいたり、やさしい価値観に心躍らされたり。
たとえば「火薬」は夏らしい曲としての一曲だそうだけど、夏というテーマでこの曲が生まれる感性にびっくりした。
すごいなあって思って、それからそのセンスがものすごく好みだなって。
夏の終わり、秋を前にした切なさ。なんだか涼しさを感じる曲だ。"静かな森"というフレーズが出てくるけれど、とても静謐で神聖で、きれいな空気を思い出すみたい。暑い夏は得意ではないけれど、夏という季節があるからこそ感じる涼しさをもっと知ろうと思えた。
ほんとう、センスと才能ってこういうことなんだなって思う。そして無二の感性。とてもいい、あの魅力はもっともっといろんなひとの目に耳に触れてほしい。

サブスクが解禁されたことで歌詞が目に見えるようになった。音としてもうんと素敵だった言葉たちを文字で見るとまた新鮮に感動した。
「rain」の"君という光に堕ちていく"の漢字を見てハッとしたんだ。耳で聴いているだけでは思い浮かべられなかったところ。"光"に"堕ちる"という言葉の流れにもぐっときた。すごいなあ、ほんとう。この曲は以前も聴いたことがある曲だったけど、改めて歌詞を見てしんみりと心地よい気分になった。
サビも含めぜんぶに感じるけれど、とくに歌い出しの歌詞がそうで、雨の景色をこんなにきれいに描けるんだなって。とても素敵な曲。

歌詞といえば、ライブ後の生配信で(歌詞の意味が)ストレートなのも抽象的なのもどちらも良いといった話をしていた。初めて聴いた頃は抽象的なほうが多いのかと思っていたけど、いろいろ聴くうちにどちらに偏ることもないんだなって知って。ヒプステ後は韻を踏むような曲もあって、どんどん吸収していろいろな音楽をつくっていくところがまた楽しくて。そういうバラエティ性って強みだと思う。
ストレートも抽象的も、どちらも書いているようだけど、一貫して情景はものすごく浮かんでくると思う。ぼんやりと、ふんわりと、うつくしく、まるで映画のワンシーンみたいな。「two of us」とかがとくにそう。MV、見たくなるもの。建太くん自身役者ではあるけど、この曲に関してはほかのだれか二人組を主人公に描いた映像で歌を乗せてほしい。別のところでカメラとか持っててほしい。
情景にメッセージが乗ってる感じもすごく好き。きれいな情景を通すことでメッセージが入ってきやすいというか。ピアノ弾き語りの「americano」もまさにそうで、ライブ中に曲についてのコメントを聞いてそのメッセージにも景色にも胸を打たれた。
あとアンコールで歌っていた、立ち寄ったカフェの雰囲気がよかったと店名がそのままタイトルになった曲。建太くんがたまに歌うこういう曲もおだやかでいいなあって思う。いい意味で波がない、凪いでいるようなまったりとした聴き心地。

それとはじめて聴いたときからずっと思っていたことがあって、旋律が耳に残る。音楽において"いい曲"の定義は広くて深くて曖昧だけど、"いい曲"はもれなく旋律が耳に残る。ロングヒットの曲や懐メロとして親しまれる曲、広く聴かれる曲はみんなついつい口ずさみたくなるでしょう? そういうメロディに理論はあるのかもしれないけど突き詰めればそんなものはない。だって音楽だもの。ただただ、感性や世界観から生み出されるものが心に響いていく。曲を聴いていないときでも頭のなかにメロディが流れる。そこがすごいなっていつも思っていた。

ずっと聴いていると、あぁこの声が好きだなって、耳がとても心地よくなる。
とくに「moonlight」は高音がきれいで好きだ。思えば出会ったときからハイトーンのパートを歌う声が好きだった。
この曲はなんだかものすごく好きで、とくに心がふるえ、踊った、そんな感覚にハイになった。歌声も好きだし、きれいで明るいリズムが聴いているだけで前向きになれる気がする。あと"哀しい過去 未来へのチケット"という歌詞がほんとうに刺さった。正直今回のすべての曲の中で一番と言ってもいいくらい胸がふるえたフレーズだ。だって、よすぎる。これって世の中だれしもが知ってる、分かってる考え方のそれだと思うのだけど、表現がやさしいというか。なんかこの言葉づかいがらしいなあ好きだなあって。ほかのパートやフレーズも含めて、元気の出る曲。熱く!じゃなくて、おだやかにうつくしくゆったりと、心に栄養が溜まっていくような。そこがいい。

プロジェクト名でもありテーマソングだという「as A」はまるでイメージソングだなと思った。この曲を聴けば、歌っているすがたを見れば、ぜんぶ分かるよって言いたいくらい。
今まで聞いてきた思い、言葉、それらが蘇ってくる。ともすれば泣きたくもなるほど、ぎゅっと詰まっていると思う。
それがYuさんのメロディに乗って。ステージ上で歌うすがたがほんとうに楽しそうで輝いていて。ハッピーって言葉じゃちょっと単調すぎるくらい、聴いていて胸がいっぱいになる。だってあふれるのは今までのぜんぶ、そして今この瞬間だと感じるから。

ここまで感じたことを記した曲はどれも建太くんの作詞曲(作曲はas AのみYuさん)だけど、各曲それぞれのフレーズに色が入っているのが印象的だった。ライブ、アルバムを通して聴くと鮮やかで楽しい。一色だけに留まらずにいろんな色に染まっていくのかなって思ったり。縁がある様々なことに挑戦して吸収して、という姿勢を表しているようだなって思ったり。

ラストの「good night」は提供曲。
ameblo.jp
これがほんとうにいい曲で。ステージで歌っているすがたもよかった。よかった、そういうすがたが好きだよって思った。まっすぐ、伝ってくる。
as Aとはまた違う、だけどこれも建太くんの曲だって思う。提供曲ならではの感動ってあるよね。
建太くんがわたしたちファンにくれる言葉や気持ちの話はいつもまっすぐで、素敵な人なんだって分かっていた。いくつもの場面の積み重ねで、すこしずつ理解して。そういうものとか、あともしかすると秘められていることとか。それらが込められた曲が贈られたということ、そしてわたしたちに向けて歌ってくれたということ。これ以上ないくらい、魅力の証明だ。この事実を自慢してまわりたいもの。
何千回何万回とでも思う、このひとのファンでよかったって気持ちがまたあふれてくる。

それとgood nightはけっこうvagueっぽい曲だなと思って。きれいで切なくて、情緒に語りかけられるような旋律とか。かつて*2わたしの胸に刺さったメロディだ。今ここであのメロディと再会できるとは思わなくて、今ずっと好きなひとが歌っているなんて。きっとだれにも伝わらない自分だけの感動なんだけど、この運命みたいな世界がたまらなくうれしかった。

そして衣装!


これもまた自分だけの感動があって、好きの再会みたいな話だ。
ナカサチさんの音楽に寄り添う衣装が好きだ。それを感じたのはわたしの好きなアイドルのジャケ写(Re:vale/「ミライノーツを奏でて」)*3で、彼らとの出会いのきっかけでもあった。音楽には物語がある。その人自身の魅力が旋律や言葉の底にある。語られないそれらを衣装は表してくれると思う。
ミライノーツを原点に知った魅力を、ここでまた強く感じた。ただただうれしかった。
衣装に、好きなひとへの好きだという感情をさらに引き出されるものだから、もう情緒が荒れ狂うんじゃないかってくらいだ。

ライブやってほしい、音源がほしい。わたしはずっとずっと願ってきた。
願わくばZeppで!なんてことも思っていた。そしたら次はもうZeppだ。気持ちが追いつかないよ。
いつだってそうなんだけど、願いが叶い始めたらハイスピードだ。
だれがすごいって建太くんがすごいんだよ。わたしたちがしあわせを受け取っているのはわたしたちが彼を応援した結果ではなく彼が生み出しているからなんだよ。

恋物語でよく"憧れの人"という表現がある。最初にこの言葉を使った人ってすごい。憧れと恋はまるで焦れったく密接で表裏一体の概念だ。
わたしにとって建太くんは憧れの人でもある、と再確認した。
心の底から尊敬する。その才能にも、センスにも、そして実現する志と力。
0からライブをつくりあげたすがたを見て感銘を受けた。
やりたいことをやるってすごい。そんな簡単に成し遂げられることじゃない。だけどわたしもやってやるって、そう気持ちを突き動かされた。ほんとうのところたった一歳しか変わらない。今までの自分がやってないだけ。だれしも最初は0だ、わたしにもきっと0から積み上げることができる。その勇気と元気をもらった。自己実現ってファンタジーなんかじゃないんだ。
だからさっそくというか、実際に自己投資を始めている。くじけそうになってもこの体験を思い出せばきっとまた何度でも奮い立つ。
好きでいる限りずっと憧れ続けるのだと思う。しあわせと元気をもらって、好きなひとが好きなんだって胸張って生きていられるように自分自身も磨き続ける。

おまけ

バンドメンバーとの雰囲気がいいのもすごくよかった。開幕の瞬間からみなさんいい顔をされていたから。さすがだなあって思ったり。


最後にバンドメンバーとみんなで手をつないで挨拶するライブってすごいよ。

まとめ、これから

project-as-a.com
サブスク解禁、ということでas Aの音楽はすべてここで聴ける。
ライブ配信の予定も決まっている。
ファンクラブ形式でなかなか触れにくいかもしれないけど、もっともっといろんなひとに聴いてほしい。
好きだという感情にハードルなんてない。聴いて、好き。それで十分。好きだから何かしなきゃなんてことはない。とくに音楽はそう。聴くだけでしあわせになれる。
好きだと感じたなら好きだって叫ぶべきだ。声は人を集めるから。
あなたがだれかのファンだとしてもだれのファンになれないとしても、なんだっていい。聴くだけでいい。それで建太くんの音楽に対する好きだという感情を共有できるならわたしはいっそうしあわせだ。
これまでずっと、ぜんぶ、できる限り聴いてきたつもりだから。すこしでも興味があればわたしに声をかけてください。
わたしと一緒に彼の音楽を聴いてくれるひとがいるならとてもうれしい。そうやってどんどん広まって、もっと大きなステージで歌うすがたを見れますようにと祈りを込めて。

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*1:客席に向けたライブ演出がある舞台で、きっと自分のファンを見つけ出すのがうまくて絶対に目が合う。見てくれている。

*2:きっかけは、舞台「瞑るおおかみ黒き鴨」

*3:https://tmblr.co/ZpENIhZcwioCSu00

僕のブルーを染めていく、きみたちをもっと/ドラマ「オールドファッションカップケーキ」

好きなものに出会える確率ってどれくらいだろう。きっと人それぞれだ。わたしにとっては、とてつもなく低い。
そんな確率なんて関係なく、好きなものに出会えることって幸せなことだと思う。好きなものはなんでもいい。好きなアーティスト、好きな漫画や本、好きな仲間、好きな人、好きな食べ物。好きなものがある、好きなことをできるってほんとうに幸せなことだ。
そしてそれを誰かと共有できるのは、それはもう奇跡である。

わたしが出会った奇跡の話をしたい。

ドラマ「オールドファッションカップケーキ」を見た。全話視聴直後にまたはじめから再生し、仕事もこなしながら三日後の朝には三周目を見終えていた。それくらい好きで好きでたまらなかった。びっくりした。あまりにもすきで、何度もリピートしている。

▷▷オールドファッションカップケーキ

www.fujitv.co.jp

「俺はもうすぐ40で。彼はもうすぐ30で。」年の差10歳のオフィスラブ

アラフォー癒し系上司とアラサーツンデレ部下という触れ込みのこの作品。ありふれた、だけどすごくとくべつなラブストーリー。
もともと原作を読んでいて好きな作品。好きだということ、ちいさな幸せ、人生はきっともっと……そういう世界観。
W主演のおふたりや水石さん、吉井さんのことも存じていてとても安心感のあるキャスティングだったから、はじめからちょっと期待していた。

それで見たら、もう、すごい。
脚本構成演出、お芝居、衣装音楽美術……すべてが満点!さいこ~~~!ほんとう、すごい。
満点だし、調和している。
原作のふわふわ甘くてちょっとサクサク、心地よい夢のような素敵な空想世界を、わたしたちの住む現実にしっとり馴染ませてある。二次元の世界を三次元に映すってそのまま再現すればいいってものではないけど、このドラマはそこがものすごーーーく絶妙でうまいなと思った。
作品を彩るひとつひとつ、すべてが丁寧に作り込まれていて、その中で生身のお芝居が胸を揺さぶってくる。情緒に響く作品だ。

こんなに好きがあふれる体験はひさしぶり、せっかくだからここに綴ることにする。

〇こんなに好きなワケ

ぜんぶ好きだからだ。こんなに好きなのは、作品のぜんぶが好きだから。
初見直後の第一声がすべて満点!だったように、作品を構成するすべてが隙ひとつなくこだわり抜かれていた。素敵だった。ぜんぶ好きだった。

もっと正直に言うと、見ていてストレスフリーなんだ。違和感や引っかかりがない。キャストのお芝居はみんなナチュラルでいて揺らぎもあり見ていて心地よい。
だけどドラマって(映画や舞台もそうだけど)、役者がどれだけよくてもそれだけでは良い作品にはならない。
オールドファッションカップケーキでは、役者が演じる役が、人間たちが生きる世界が原作の世界観そのものらしくおだやかでやさしくて、背景と人々がちぐはぐになることなくぴったり"調和"していた。
原作ありきの映像作品はここのハードルが高い。とくに二次元的要素の強い漫画やアニメ、いわゆるサブカルものはたとえ現代のリアルを描いていても世界観はいつだって現実離れしている。商業BLはその代表と言ってもいいくらい。
原作からの引き算も足し算もとてもうまくて。もともと好きな原作の世界観を表現したこのドラマの世界観がそりゃもう大好きで、こんなにハマってしまった。
ストレスフリーで完成度の高い、好きな世界。細かい彩りのどれもが楽しくって素敵。ぜんぶが素敵、ぜんぶが好き。

〇野末さんと外川くん

よかった。ほんとうによかった。
知ってたけど、分かってたけど、想像以上によかった。
そう、分かってたけど、新鮮に感動していた。

原作の野末さんってぜったいに二次元にしか存在しないようなひとなんだけど、ドラマの中に"野末さん"は存在していた。なんだろう、概念がそこに生きているというか。魔性の魅力にみんなめろめろだし野末さんのためなら小一時間は残業していい。全編通して、ほんと、そういうところ…っていう勢いがあるくらい"野末さん"。
あとたぶん喋り方が野末さん。声とか抑揚とか。どちらかというと2.5次元舞台のそれに近い。声真似よりも息遣いや抑揚をトレスされてる方が再現の高さを感じるっていうあれ。この作品はドラマだから2.5とはまたちがって再現の必要はないけど、声色、息遣い、抑揚といったところから"野末さん"をものすごく感じる。
野末さんの呼ぶ「外川」が1話からもうすごくいい。たまに"外川ぁ"って伸びるところもたまらない。ドラマの野末さん、よく外川の名前呼ぶ気がするけど気のせいかな。
それから罪な微笑みがほんっっっとに罪な微笑み。えへへって笑うだけで女子はめろめろだよ、わかる。だれにでも向けるけど外川にはもっと向けてるから、外川はずっとめろめろだろうな……すごいね……
二次元にしかいないような"野末さん"というひとが自然体でわたしたちと同じ空の下にいる。見れば見るほどそう感じさせてくれる。ドラマの野末さんは周囲に与えるものや周囲からの印象がどこまでも野末さんだ。
こういうありえない存在を演れるひとってたしかに航平さんしかいないなって解禁時に考えていた。魅せ方がうまいひと。そして最終話の「もう四十路なのに場所も選ばずキスしちゃいそう」があまりにすごくて、""野末さん""で。この台詞でこんな満塁場外ホームランを打てるひとも航平さんしかいないなあって思った。

外川くんのちょっと無愛想で冷静そうに見えながらも実は健気でまっすぐで感情がほろっとあふれやすいところに外川というキャラクターの生を感じた。
わかる、きみは就活がうまくいかなくて「何もしてこなかったしこれからも何ができるかわからないし何をしたいのかも分かりません」なんて面接で言っちゃうような子だ。
感情がそのまま出ていってるんだよね。それでよく周りにバレないなってくらい。「野末さんと外川さんって最近仲良いですよね」では済まないでしょってくらい。野末さんラブが溢れ出している。野末さんのことがほんとうにすきなんだな……って何度も何度も思わされてうっとりした。
クールに見えるし、きっと実際そう。でもよく笑うし眉尻が下がるし慌てるし野末さんと話すときの声に感情の色が常にわかりやすくのっている。
漫画の活字では聞こえてこない、分からないものが全身全霊で表現されている感じ。たとえば、「毎日食いたいです」ってあんなにうれしそうなんだもの。
喜怒哀楽のハンドルが野末さんに握られているんだよね。ひとを好きになるってこういうことなんだな、好きなひとの前ではこうなるんだな、というすがたそのもの。好きがダダ漏れでいい。
最初から最後までずっと、外川くんの感情の揺れ動きが見ていて胸に響いてくる、ぎゅっとなる。彼のあらゆる感情が、それだけでこの作品を揺れ動かす。まるで主旋律、というか。最後にむすばれて、外川くんよかったね~~~!!って心の底から泣いちゃう。
見ごたえのあるお芝居ってこうだよなあって思うし、もうとにかく達成くんのお芝居がいい、とにかくいい。良。このドラマを見てからずーっと、芝居が良……って言ってる。
笑う演技が良いひとはぜんぶいいって思ってるけど、まさにそれ。心の底から笑ってるんだなってすがたに浄化される感覚がわたしはすき。そしてそういう演技ができるひとの怒りや悲しみ、抑えた芝居から感情フル出力まで、そのどれもがいいって知ってる。このドラマの外川くんはまさにそれ。
あとシンプルに顔がいい。ほんとうにいい。わたしの好み(正直)
つよい顔面をしていてかわいい系なところ、もぐもぐハムスター男子なところも良い。かわいいね。食べ方がいい。
3話で「でかくて邪魔」って言われたあと高さを変えるところもかわいかった。かわいい。あれ、アドリブなんだね。野末さんが「高さを変えたとて」って言って「……とて」ってなってる外川くんもよかった。アドリブなんだね……
完成発表会を見ていたら(もともと抱いていた印象に比べて)あまりじっとしていなくて…というと語弊があるけど、なんというか、あぁかわいい系なんだな……とか考えた。
役者として魅力的な人だとは知っていたけど、追いかけていたわけでもよく見ていたわけでもなかったから、今回しっかりお芝居と舞台裏を見て、いいな~~!!って思った。
ほんとうによかった。すべてにおいて。

野末さんと外川くん。演じるおふたりのお芝居の質、魅力のベクトルが違う方向なところが大前提としてまずよかった。
恋愛ものじゃなくてバディものでも、「ふたり」の物語において、正反対の役者を当てることは定石だ。そこで生まれる化学反応が作品をより魅力的にするから。
魅せ方がべらぼうにうまい野末さん、感情をダイレクトに揺さぶってくる外川くん。最高の組み合わせだ。

この二人はお互いがお互いに影響を受けてきたんだなってとても説得力がある。ドラマの、この野末さんにこの外川くんあり、みたいな。外川くんは野末さんに落ちっぱなしだし世界のすべてが野末さんで回ってる、野末さんは外川くんのことがかわいいし世界がどんどん外川くんでいっぱいになっていく。
オールドファッションカップケーキは攻めが口説き勝ちするBLだけど、ドラマでも外川くんの口説き勝ちだった。あんなふうに慕われたら落ちちゃうよね。

◯お芝居の魅力を引き出す映像

野末さんと外川くんがあの空の下に生きていた。わたしたちの現実世界にオールドファッションカップケーキの世界が馴染んでいた。それは演出によるところが大きかったと思う。
あたたかい陽光がやさしさや物寂しさ、切なさ、それらすべてを内包したぬくもりを作品に与えていた。光加減がものすごくいい。青空も。撮影はたしか冬の終わり、春にかけて、だっけ。たまたまかもしれないけど、オールドファッションカップケーキを描くにふさわしい季節だ。

そして芝居を撮っているんだな、というカメラワーク。
わたしは根っからの役者好き。どんなコンテンツだって役の向こうの役者を見る。役者の表現を楽しむ。そんな芝居を見るのがすきな人間にとってこれはたまらないよね。
4話ラスト長回し長回しなのもよすぎる。ほんとうたまらない。あとこのシーンのカメラワーク、アングルもいいしゆらゆらと揺れているのがまたよかった。長回しとカメラの揺れがあのシーンの彼らのお芝居の魅力を最大限に引き出していたようにも思える。
「殴ってください」を二回繰り返すのもよかったな。原作は一回だけ。このシーンはほんとう、実写ドラマだからこそ生まれているものがあった。
生身の人間が演じるからこその台詞のちょっとした足し引き、映像回し、その塩梅にちいさな感動がいくつもあった。彼らが生きているすがたをただただ映したような世界が、それだけの世界が、オールドファッションカップケーキを象っていた。

◯細やかな演出、ちいさな気づき

好きなドラマを何度もリピート再生するたびにあたらしい発見がどんどん出てくる楽しみってあるよね。主張はされてないけど、細部までこだわってある。ふと見つけるアクセント。そういう作品はいつだって映像全体がうつくしい。
映像のうつくしさと言えば、ふたりの部屋のインテリアも彼ららしさもありおしゃれさもあり映えがとてもよかった。オフィスのアイテムもこだわってるな~って。野末さんのデスクもいいな。お部屋もオフィスも、楽天で売ってそうな令和のベストアイテム(?)が点在していた……気がする。アイテムひとつひとつがさりげなくおしゃれ……間接照明があるお部屋はおしゃれって決まってるし……

あと、野末さんって朝6時42分にはご飯と汁物と目玉焼きとおかずとレタスを用意して朝食を食べてるんだなあ、とか。素敵なお茶碗使ってるよね……似たようなお茶碗、わたしも持ってるよ……
それからお酒を飲んだ翌日に外川くんは低脂肪ミルクを飲むんだなあ、とか。しかもパックごとがぶ飲み!(二日酔いには乳だし鍛えてる彼なら低脂肪を選ぶ)野末さんの写真を眺めてる外川くんの表情もよかった、たまらなかった。
一方野末さんは二日酔いでカップしじみ味噌汁をオフィスで飲んでいる。外川くんと二人きりになった途端にだらっと二日酔いを隠さない野末さんも、ブレンドコーヒーを買おうとして「二日酔いにもおすすめ」のPOPを見て野末さんの分をスムージーに変える外川くんもよかった。こういう気づきにいちいち楽しくなる。

◯調和

ヘアメイク・衣装も、いいスタッフさんが入ってるんだろうなと初見時から考えていた。
わかりやすいところだと、ふたりが出会った頃のシーンのヘアメイク。それから4話の外川くんのだぼっと具合。あのだぼっと感が4話ラストをますます切なく見せるんだよ。おさえきれなかった想い、こぼれる欲情、つまりだらりと落ちていく様。
光加減、照明、それから音楽も。あえて無音のシーンもあった。
二次元にしか存在しないような彼らを引き立てる、そして浮かせない小洒落た背景。小道具のひとつひとつ。
ハッとする構成、演出、カメラワーク。台詞の取捨選択。(豆板醤、コチュジャン甜麺醤のくだりがしっかり入っていたのもよかった。)結果として完成するオールドファッションカップケーキの世界。
映像を構成するすべてがこだわり抜かれていたし、各部門それぞれがそれぞれと共鳴しているような、そんな調和が見ていてとても心地よかった。
どの角度から見ても楽しい。これだからドラマ「オールドファッションカップケーキ」は何度も何度もリピートしたくなる。

◯BLドラマということ

視聴を終えて、"BLからしか摂れない栄養がある"と気持ちよくなった。
わたしはおたくとしての物心がついた頃からBL好きで、なぜBLが好きなのかなんて考えてもわからない。だけどたしかに言えるのは、BLはひとつのエンタメで、ジャンルだ。さりげなく取り扱われる同性愛とはちょっと違う。
この話をうまくできるほどわたしに知見は足りてないけれど、BLってこうだよねって部分がしっかり描かれていたのがよかった。その仕草、その絡みに萌える人間がいるんだって分かられてる感じ。
たとえば攻めからの襲われるみたいなキスを拒まず受け入れちゃってる受けって概念がBLには存在する。これ実写化できるんだなあ…とか考えた。ほかにもいろいろ、BLって攻めと受けの見せ方があると思うんだけど(ほんとにうまく言えない!)それがぜんぶよかった。
かわいい攻めとかっこいい受け、みたいなやつとか。BLあるあるのお約束、お決まりってあるよね。そういうもの。
そのうえでの野末さんと外川くんっていう圧倒的なキャラクターが自然に生きていて、ほんとうに感動していた。

余談だけどボトルの半分は使い切るんじゃないかというほどの消臭ミスト、思わず笑ってしまった。BLドラマにはそういうシュールな何かを入れるしきたりでもあるの?あるよね?

〇ドラマ「オールドファッションカップケーキ」

原作の外川くんは野末さんにあんなに消臭ミストを振りかけたりしないかもしれないけど、ドラマの彼らはする。ドラマの外川くんは料理をしている野末さんのそばに、ちょっと粘る。ちょっと甘えたで遠慮がない感じ。そんな外川くんをドラマの野末さんはわりとリードできるひと。
これは例え話だけど、実写化ってこういうちがいがおもしろい。
ストーリーの面でもちゃんとそこにいる女性たちの存在や異動といった要素が実写という制約の中に与える効果ってあったと思う。
あの二人にこの世界あり、みたいな。
わたしはドラマ「オールドファッションカップケーキ」が大好きだ。あたたかい世界、おちゃめな彼ら、素敵なふたり、いくつものこだわり。原作は原作としてもちろん好きだけど、ドラマはドラマでもっともっとふたりの未来を見たいと思った。
続編でカプチーノやってほしいし、せっかくだからオリジナルストーリーで映画とかつくってほしい。野末さんのおうちのお布団で眠っている外川くんのことも詳しく教えてほしい。ほかのキャストもよかったからちょっとしたスピンオフも見てみたい。野末さんと外川くんっていうCPありきの、ほかのキャラクターたちのお話とか。
わたしはこのドラマがとても気に入った。だいすきだ。だけどあなたもそうとは限らない。好きに出会える確率は人それぞれ。でも、それでも、このドラマが作品としてほんとうに素晴らしいこと、わたし好みの素敵な世界観だということ、めろめろにされた人間がここにいるということ、声を大にして叫びたい。続編に期待を込めて。

〇今日より明日、明日より明後日、明後日より五年後

オールドファッションカップケーキはラブストーリーでありながら、生きる力を与えてくれる。野末さんの人生観、影響される外川くんの行動、好きなものを好きでいること、日常のしあわせ、そういうものに焦がれる。
そして野末さんと外川くんの出会いと交わりは奇跡だ。うらやましさもあるし、ふたりを見ているだけでしあわせになれる。
「君の人生の一部になる自信がある」
「俺の人生のすべてになってください」
どれだけしあわせで、とくべつなことだろう。最終話ラストにあふれる幸福度がほんとにもうすごい。
おいしいスイーツを一緒に食べた、その積み重ねの先に生まれたものだ。あぁやっぱり、もっともっとこのふたりを見ていたい。

youtu.be

ありえないくらい僕のブルーを染める

ドラマの世界にぴったりの旋律と彼らを語ったような歌詞。MVを見るだけでしあわせになれる。
とてもすきな曲だ。

▷▷書いた人

About - star vase ←ここを読むといろいろわかりやすい。
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まだまだ語り足りない。この文章は、このドラマへのあふれる想いのほんの一切れ。もっと別の角度から考えることも、別のものを拾い上げることもできる。
また何度も見て、考えて、好きになる。