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あふれることばたち

今また灯る楔/りぶWアルバム「MYLIST」「PLAYLIST」によせて

ネットシーン唯一無二の歌い手・りぶが活動10年の歴史を詰め込んだベストアルバムをリリース!
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りぶさんに出会ったのは高校生の時だ。
当時は周りの友人たちの間でも、はたまたSNS上でもボカロや歌い手の文化が流行していた。Circle of friends*1とかの時代である。(COF vol.3にふらりと参戦したのを思い出した)
わたしはボカロ曲にも歌い手にも疎くて、なんとなーくニコニコ動画で歌ってみた動画をぼんやり再生しているぐらいだった。そんな時に出会ったのがりぶさんだ。誰かにすすめられたわけでもなく、自分ひとりで突然出会った。
直感だった。直感で惹かれて、歌を聴き続け、もう8年は経った。
りぶさんの歌声はやさしくて力強くて、きれいだ。揺らがない歌声でわたしの心を揺さぶってくる、唯一無二の歌い手だ。
わたしにとって好きであることは運命で、理由なんていらなかった。ただただ好きだからたくさん聴いたし、当時は生放送も追いかけて、それから一度だけイベントにも足を運んだ。
高校時代の思い出はほとんどりぶさんの歌声と共にあると言ってもいい。通学電車に揺られながらイヤホンから流れるのはりぶさんの曲だった。高校の制服、電車、とくれば続くのはりぶさんと言うほど。

あの頃から今まで、ずっと忘れていないことがある。彼がよく言っていたこと。生放送やイベントなど、いろいろな場でよく言っていた。
たとえば十年後の未来に"りぶ"という歌い手がいたことを忘れても、飽きてても、あるいは嫌いになっていても、それでもいい。今この瞬間"りぶ"の歌を聴いてくれていることがうれしい、誇りに思う、と。またはもしも遠い未来でふと思い出して歌を聴いてくれたとすれば、こんなにうれしいことはない、と。
今聴いている人が高校生なら、あなたの高校時代のひとつの時間を"りぶ"にくれたことがうれしい。そんなふうに言っていた。
びっくりした。そんなことを言うんだって。同時に、このひとのことはものすごく信じられる、なんて漠然と感じた。それから、当時高校生だったわたしに突き刺さったのだとも思う。
このことを言っていたのは一度ではなかった。だからかな、今でも頭の中に刷り込まれている。一言一句ではなくとも、その内容はしっかりと。意味はけして違えない。

それからりぶさんの活動は一時期少なくなり、「化石」なんて愛称までついて。笑
わたしは大学生になり他にものめり込む趣味ができて、根強いファンと言えるほどではなくなったけれど。
でも今思い返しても大学まで歩いていた景色の記憶はさまざまな音楽と共にあり(イヤホンを家に忘れると一日中沈むタイプの人間だった)そのひとつはたしかにりぶさんの歌だった。音楽とはいい意味で手軽で、いつでも聴けるから。
そういえば2年8ヶ月ぶりの歌ってみた動画「ドラマツルギー*2がUPされた時は舞い上がって今みたいにブログ*3を書いていた。うれしかったなあ。やっぱり好きだったことがあの時も、身に沁みた。

近頃は動画投稿やSNSでも多々すがたを見られるようになり、また新しい歌声を聴くことができてそのたびにわくわくしている。いつ聴いても元気をもらえる。
社会人になった今、のんびりゆるゆると、彼の声にふれている。
人柄というのは声や風貌に出るものだと思う。なんというか、隙なく好きである。
かつて足を運んだリリイベのサイン会(握手会)で会ったことがあるけれど、顔立ちもまさにハンサムという表現がしっくりきて、何の因果かわたしの好きな系統だった。偶然にしてはさすがに…と今になって思う。
そんな、思えば人生初の"現場"で。喋り下手のわたしにもしっかり目を合わせてやさしく接してくれたこと、あの時見た景色を今でもずっと覚えている。
あの時も言っていたよね。たとえばの十年後の話。

今。
"りぶ"の活動の軌跡がぎゅっと詰め込まれたベストアルバム「MYLIST」そしてアコースティックカバーアルバム「PLAYLIST」がリリースされた。
それをわたしは予約して購入し、パッケージをひらくワクワクを感じ、じっくり聴いている。
そんな2021年。
かつての未来である。
かつて、たとえば数年後の未来に"りぶ"の歌を聴かなくなっても、と言っていた。でも今でも聴いているよ。ずっと聴いてると思う。8年ってそういう、"ずっと"を証明できる長さだと思う。
かつて、今この瞬間を、時間をもらっていることがうれしいと言っていた。今でもあの頃の思い出は大切だし覚えているよ。そして今でも、あなたの歌を聴いて元気をもらっている。仕事がしんどいときも気分をすこしでも上向きにすることができた。

この広いインターネットの海で、はたまた地球のなかで。その片隅でひっそりと歌を聴き続けていた者がいる。そのことをひっそりと広大な世界にそっと流しておきたくて、この記事を書いた。
CDは発売されるたびに買い続けていた。それってすごいことだなあ、と自分のことながら。
アルバム発売前夜の生放送で最後に話していたことは、高校時代に聞いてつよく印象に残ったあの話と同じだった。いつかの未来CDを引っ張り出して聴いてもらえたなら。あの頃からその芯が変わってなくて、きっとそんなりぶさんだから今でも好きなんだよ。
そしてわたしのようなひとが他にもたくさんいるらしいことも知った。それはそうだ、そうに決まっている。

すべて、りぶさんが今活動してくれているからだと思う。
そうでなくともたしかに聴きたいときにいつでも聴けるし、聴いてきた。
だけれど今この瞬間の感慨深さや高揚感、それらはこのベストアルバムによってもたらされている。今こんなにわくわくしていて、楽しくて、幸せを感じられるのは、今でも歌ってくれているからだ。
音楽の力ってやっぱりすごいもので、その音ひとつで心が救われる。これほど好きな歌声に出会えたわたしは幸せ者だと思う。

ベストアルバムには時の流れが詰まっているようにも思う。
懐かしさや、あぁこの曲も収録されている!といううれしさ、かつてを辿るような心地。そしてやっぱり大好きな歌声。聴くだけでしんみり。
はじめから今までずっと直感だったし、言葉になんてできない。ただただ揺さぶられるんだ。この揺らがない、つよくてやさしい、きれいな歌声に。
ずっと歌ってくれていて、ほんとうにほんとうにありがとうございます。

今回のオリジナル曲「mylist」に

たとえ神様が人間(ひと)を羨んだとしても
奪えないよ 楔は消せないよ

という歌詞がある。
3rdアルバム「singing rib」をリリースした頃、りぶさんはもし今聴いている人が中学生なら、高校生なら、いつになっても思い出せるその学生時代の大事な"楔"を打つ役目を自分にさせてもらえたことに感謝を、と言っていた。そのことを思い出した。
学生時代の思い出にしっかりと残った歌声は、今あの頃を思い出すときに必ずそこにある。ぜったいに消えない。
りぶさんのオリジナル曲「singing」「fossil」「mylist」はとても聴き心地のよい曲で、順番に聴くのもまたりぶさんの活動の軌跡を感じて、感慨深い。
朝焼けからはじまる日常、そんな日々をりぶさんの歌はあざやかに彩ってくれる。時は流れ、この数年に灯された彩りをわたしは忘れない。
出会いは突然で、びっくりして、その歌の力はたしかに怪物(けもの)のようでもあるのかも。
「mylist」の"ねぇ忘れないでいてよ"という歌詞に勝手ながらこたえたくなる。忘れないよ。
今までのCDも、思い出も、歌を聴いた記憶も、りぶさんの歌すべてがわたしにとっては宝物。
ベストアルバム/カバーアルバムの発売、おめでとうございます。
十年をも超えるながい時の流れの中で、歌っていてくれてありがとう。やっぱりずっとだいすきです。
せっかくだからもっともっと彼の声にふれたい。
アルバム発売をきっかけにそんな気持ちがあふれ、ひとまずりぶさんのツイート通知をオンにした。
そんな今。また思い出をひとつ、ふたつと増やしていく。明日の通勤BGMはMYLISTに決まりだ。

marshmallow-qa.com

りぶさん。
あなたに出会った当時高校生だったわたしは今社会人三年目をやっています。UPされる動画は欠かさず見て聴いて、CDは毎回予約して買っていました。気ままに聴くばかりだけれど、いつ聴いてもずっと変わらず大好きです。歌い続けてくださることに感謝を。わたしの日常に楔を灯してくださり、ほんとうに、ありがとうございます。